真駒内どうぶつ病院札幌市の真駒内にある犬猫専門の動物病院です

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犬に多い血液の病気

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▋ 免疫介在性溶血性貧血(IMHA)

IMHAは、免疫システムの誤作動により、自分の赤血球が破壊されてしまい貧血に至る病気です。貧血の進行および血栓症が主な死因となる重大な病気です。症状としては、発熱、可視粘膜蒼白(歯ぐきが白い)、黄疸と黄疸に伴う橙色尿、血管内溶血が生じている場合は赤色尿(赤ワイン状)、などがみられます。血球形態評価、貧血を引き起こすその他の病気の除外診断、などの結果を総合的に判断して診断します。IMHAの重症度は様々ですが、全体の致死率は約4割とされ、特に著しい溶血を伴う甚急性IMHAの致死率は約9割とされています。治療は、誤作動を起こした免疫システムを抑えるため、ステロイド剤と免疫抑制剤による免疫抑制療法が中心となります。また、導入療法の際、薬の効果が得られるまでの間を乗り切るための緊急治療と支持治療が非常に重要です。再発しやすい病気であるため、維持療法を数カ月継続する必要があり、合併症を管理するための支持治療も重要です。その際の合併症を管理するための支持治療も重要で、この間を安全に治療継続することができれば、長期生存が期待できます。

IMHAの血液塗抹所見
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球状赤血球の有意な出現、赤血球の再生を伴う大小不同
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赤血球の自己凝集

※補足: 貧血を呈する赤血球系の免疫介在性疾患には、IMHAの他に非再生性免疫介在性貧血(NRIMA)と赤芽球癆(PRCA)があります。これらの病気は、赤血球のもととなる骨髄内の細胞が破壊の標的となっている病態であり、発生はIMHAに比較して少なく、発症に至る詳しい機序は明らかにされていません。NRIMAとPRCAは貧血の進行が緩徐であるため、身体が慣れながら進行し、重度の貧血になってから(歯ぐきが真っ白になる程進行してから)発見される場合がほとんどです。血球形態評価、貧血を引き起こすその他の病気の除外診断、骨髄検査、などの結果を総合的に評価して診断します。治療はIMHAと同様に、ステロイド剤と免疫抑制剤による免疫抑制療法が中心となります。

▋ 免疫介在性血小板減少症(IMTP)

IMTPは、免疫システムの誤作動により、自分の血小板が破壊されてしまい血小板減少症に至る病気です。血小板減少の進行による出血傾向が死因となる重大な病気です。症状としては、発熱、皮下出血による紫斑(あざ)、歯ぐきからの出血、消化管出血(黒色便)などがみられます。血球形態評価、血小板減少症を引き起こすその他の病気の除外診断、などの結果を総合的に判断して診断します。IMTPの多くがステロイド剤への治療反応が良好で(約7〜8割が良好に反応)、長期生存が期待できます。ただし再発しやすい病気であるため、維持療法を数カ月継続する必要があります。ステロイド剤への反応が悪い場合やステロイド剤の継続に制限がある場合は、免疫抑制剤の併用を考慮します。

IMTP
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IMTPの患者でみられた紫斑(あざ)
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IMTPの血液塗抹所見、血小板減少と大型血小板の出現

▋ リンパ腫

犬に多い腫瘍のページをご参考ください。

※リンパ腫や白血病などの血液のがん(造血系腫瘍)は血液の病気にも分類されます。

▋ 慢性リンパ性白血病(CLL)

白血病は犬では少ない病気ですが、CLLは時々発生がみられます。リンパ腫と同様、血液のがんに分類される病気です。血液中のリンパ球が著しく増加する血液検査上の異常が顕著です。しかしながら末期になるまで症状が発現せず、健康診断で偶発的に発見されることもあります。リンパ球増加症を引き起こすその他の病気の除外、血球形態評価、リンパ系細胞のクローン性解析、などの結果を総合的に判断して診断します。進行が遅いので、初期段階で発見した場合は、無治療で定期検査を実施し、治療開始の必要性を判断していきます。治療を開始する場合も、まずは内服薬のみで行う弱い治療を選択します。急性白血病とは異なり、治療と休薬を繰り返しながら、長期間良い状態を維持できる可能性が高いのが特徴です。近年では、低悪性度高分化型リンパ腫との類似疾患として分類されるようになりました。まれに、高悪性度低分化型リンパ腫に急性転化するリヒター症候群がみられることもあります。

CLLの血液塗抹所見
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高分化な形態の小型リンパ球が多数みられる
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細胞質は広いが核は高分化な形態のリンパ球が多数